Vol.51 EDと亜鉛

バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED治療薬の効果には疑いの余地はありません。内服すれば極めて効率にEDは改善します。
患者さんの満足度は非常に高いのですが、ときどき次のような質問を受けることがあります。

「EDって完全に治ることはないんでしょうか?」

実に、難しい質問です。
20代、30代で過労やストレスが原因の現実心因EDであれば、労働条件や環境の変化で根治する可能性は十分にあるといえます。
また、低用量のシアリス連日投与にて、根治に近い状態を得られる可能性があることは以前のコラムでも紹介しました。しかし、コストの面ではなかなかお薦めしにくい部分もあります。
もう少し安価で、ある程度効果が期待できる治療法を考えますと、やはりサプリメントなどが考えられるかもしれません。
しかし、明確なエビデンスがあるサプリメントも無いのが現状ですが、亜鉛とEDを含めた男性機能障害の関係については海外でも複数の論文が出ています。
亜鉛とは…、原子番号30の金属元素です。酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成および維持に必須です。それらの酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたります。
精子形成などに関わることからEDに効果がありそうな気はしますね。では実際の医療現場ではどうなのでしょうか?
高血圧治療に使用されるヒドロクロロチアジドという利尿薬は亜鉛欠乏を生じることがありますが、そのような亜鉛欠乏患者さんでEDが多かったという報告があります。(1)
また、慢性の透析患者さんではEDが多くなりますが、そのようなケースでも経口の亜鉛摂取で男性ホルモンの濃度が上昇し、男性機能障害を改善する傾向があったという報告もあります。(2)もちろん、バイアグラなどのED治療薬を第一選択にすべきだということでしたが。
このように、完全にエビデンスが出来上がっているわけではありませんが、亜鉛のEDへの有効性を示唆する報告はいくつも見受けられます。
根治までにはつながらないかもしれませんが、バイアグラなどのED治療薬への補助療法として亜鉛をサプリメントとして摂取していくことは一つの治療オプションになるのではないでしょうか。
今回は説明しませんが、AGA治療においても亜鉛は有益である可能性があるといわれています。
渋谷三丁目クリニックでも、上記の報告なども踏まえて、亜鉛製剤によるED・AGAへの補助治療を開始する予定です。詳細はHPにて近日中にアップされますが、ポラプレジンクという亜鉛製剤の処方を予定しています。
今後も、より質の高いED治療を行えるように診療内容のアップデートを行っていく予定です。

(1) Khedun SM, Naicker T, Maharaj B. Zinc, hydrochlorothiazide and sexual dysfunction.  Cent Afr J Med. 1995 Oct;41(10):312-5.
(2)  Mariacristina Vecchio et al. Treatment Options for Sexual Dysfunction in Patients with Chronic Kidney Disease: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. Clin J Am Soc Nephrol 5: 985–995, 2010