Vol.54 ペニスが変形する病気、ペロニー病

ペロニー病(形成性陰茎硬化症)は後天的にペニスの形状が変形して自然な勃起が妨げられてしまう病気です。病名はフランスの医師Francois Gigot la Peyronieが1743年に最初に報告したことに由来します。50~70代の男性の2~8%に発症することが知られている比較的発症頻度の高い疾患ですが、その原因は現在のところよくわかっていません。
陰茎海綿体白膜にしこりができる良性の病気ですので癌化することはありませんが、癌と区別がつきにくいため注意が必要です。症状としては、しこりの触知、勃起時の痛み、ペニスの弯曲、ペニスの短縮などによる勃起障害や性交障害がみられます。
時折、ペロニー病の患者さまから「ED治療薬(バイアグラ、シアリス、レビトラ)を使用しても大丈夫でしょうか?」と聞かれることがあります。ペロニー病はED治療薬を服用するうえで、禁忌(服用が禁止される状態)ではありませんので服用は可能ですが、勃起によって痛みが生じたり、勃起しても挿入できない場合もありますので、安易な服用はお勧めできません。
通常、治療は症状が落ち着くまで保存的に行います(手術をせず、ビタミンEやPGE1、ステロイドといった内服薬で様子を見ます)。ここでしっかり内服治療することで半数程度は治るという報告もありますので、あきらめずに根気強く続けることが大切です。この段階ではED治療薬(バイアグラ、シアリス、レビトラなど)を使用しながら、ごまかしごまかし性機能を維持するのはあまりお勧めできません。
症状が発生してからしばらくはペニスのしこりが徐々に大きくなり、ペニスの変形もひどくなっていきます。それ以上しこりが大きくならなくなってから、さらに半年程度待って、症状が固定したところで必要であれば手術に踏み切ります。(おおむね初発症状から1年後)
いずれにしても、手術ができる専門の医療機関を受診する必要がありますので、はじめから入院施設の完備された泌尿器科を受診することをお勧めします。
ED治療薬が効きにくい病態として、糖尿病や高血圧、脊髄損傷、前立腺全摘術後によるEDはよく知られていますが、ペニスの局所症状が原因のペロニー病は発見が遅れやすく、認知度も低いため、治療が遅れてしまいがちな隠れた難治性EDとして、注目されています。