Vol.68 韓国版バイアグラとブラジル版バイアグラ

現在、日本で正規に処方されているED治療薬は3種類。主成分がシルデナフィルのバイアグラ、主成分がタダラフィルのシアリス、主成分がバルデナフィルのレビトラです。
国内で流通しているのはこの3種類だけです。
一方、個人輸入代行業者のホームページを見ますと、インドの製薬会社が製造しているジェネリックバイアグラ(カマグラ、シラグラ、カベルタ、ペネグラなど)が数多く見られ、ジェネリックシアリスに相当するタダリスや、ジェネリックレビトラに相当するサビトラなども取り扱われています。これらインド製ジェネリックED治療薬は主成分がシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルのいずれかですので、あえて誤解を恐れず荒っぽい言い方をしますとバイアグラ、シアリス、レビトラと同じ薬といえます。これらジェネリックED治療薬のシェアも含めますと、世界的に見るとバイアグラ(シルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)、レビトラ(バルデナフィル)3種類の薬剤で全世界のED治療薬のおおよそ99%のシェアを占めているのですが、今回は残りの1%についてお話したいと思います。
上記3薬剤(バイアグラ、シアリス、レビトラ)に対抗すべく韓国では国家プロジェクトとして2005年にDang-A製薬がウデナフィル(商品名:ZydenaⓇザイデナ)を、2007年にSKケミカルがミロデナフィル(商品名:MvixⓇエムヴィクス)を発売しました。また、ブラジルでは2006年にCristalia Pharmaceuticals社がロデナフィル(商品名:HellevaⓇヘレバ)を発売しました。現在、ED治療薬として実際に臨床使用されている成分としてはこれらとバイアグラ、シアリス、レビトラを合わせた6種類のみです。(ほかにもアヴァナフィル(avanafil)やニトロデナフィル(nitrodenafil)など数十種類のPDE5阻害薬がありますが、研究以外の目的でヒトに使用されることはありません)当然ですが、まむしドリンクやマカ製剤、ニンニクエキスなどはED治療薬としては認められていません。
これら6種類の化学構造式をみますと、「なになにフィル」と名がつくものは分子構造が似ているものが多いということに気が付きます。特にバイアグラ、レビトラ、ザイデナ、エムヴィクスの構造式はそっくりで、側鎖のわずかな違いしかありません(以下の図を参照)。このわずかな分子構造の差によって効果時間や消化管での吸収しやすさ、副作用やペニスへの特異性が異なってくるわけです。韓国製のウデナフィルとミロデナフィルの構造式を見ますと、バイアグラ、レビトラとよく似た薬効なのではないかと推察できます。実際、ウデナフィルの添付文書を見ますと、ピークが50~80分後、作用時間が7~12時間と記載されていますので、ほぼ同じであることがわかります。また、ブラジル製のロデナフィルはバイアグラのダイマー(バイアグラ分子を二つ結合させた二量体)ですので、効き目の強さや即効性において若干優位と報告されているものの、副作用や効果に関する特性としてはバイアグラとほぼ同じと考えていいでしょう。
分子構造が少しでも違えば別の新薬として扱われますので、「バイアグラの二匹目のどじょう」を目指して多くの製薬会社がバイアグラ類似物質を開発したことが伺われます。
いずれにしても、日本では承認されていない医薬品ですので、韓国やブラジルなどの医療機関で処方されるか、偽造医薬品のリスクを承知の上で輸入代行業者を通じて個人輸入する以外に入手する手段がありません。また、実際には当院で扱っていないため詳細に関しては不明です。

こうして見ていきますと、シアリスだけがレビトラをはじめとしたバイアグラ類似物質と一線を画していることがわかります。このようにバイアグラと大きく異なる分子構造をしているED治療薬としては、ほかにアヴァナフィル(avanafil)がありますが、これらについてはまた別の機会にご紹介します。

ED治療薬の化学構造式

ED治療薬の化学構造式:よく見るとシアリス以外はほとんどバイアグラとそっくりです。


ジェネリックバイアグラについて