Vol.81 太った人の性的な悩みに効くED治療薬

肥満がある患者さんの性的な悩みを調べるための調査は、本格的なものはまだありません。
このコラムでも書いておりますが、肥満やメタボはEDの原因となり得ます。そして、EDの1/3にPE(早漏症)が合併することが知られています。これらから考えますと、肥満・メタボなどはEDやPEの原因となる可能性があるため、性的な悩みを持つ可能性が高まるとも言えます。
肥満を持っている人の性的な悩みに対する試験的研究について述べた論文があり、興味深い内容なので今回紹介します。
「 A pilot study to evaluate the effects of vardenafil on sexual distress in men with obesity」 というタイトルの論文です。訳しますと「肥満を持った人の性的な悩みへのレビトラの効果を評価する予備試験」といったところでしょう。
要するに太った人の性の悩みにレビトラが効くか調べてみました、ということですね。
調査の対象は健康な肥満患者で、明らかなEDやPE(早漏)を持っていない人達でした。
ちなみにどのくらい肥満な人たちを対象にしたかと言いますと、BMIが40前後、つまり170㎝の身長だったら115㎏程度の体重がある方たちです。
試験的研究というだけあって対象患者さんは20人しかいません…。それがこの研究の弱点とは言えますが、まずは研究の方向性を導くのが大事なので大目に見てください。
明らかなED、PE(早漏)がないとはいえ、まったく性的悩みがないわけではないので、intravaginal ejaculatory latency time (IELT)という膣内への挿入時間や、 (Self-Esteem and Relationship Questionnaire: SEAR:自尊心および関係性質問票) 、Male Sexual Health Questionnaire-Ejaculatory domain (MSHQ-EjD:男性の性的健康に関する質問票) などというややこしい名前のもので、悩みを評価しました。そして、レビトラ10㎎を内服する群と偽薬を内服する群で比較した結果、レビトラ群ではIELT、SEAR、MSHQ-EjDが改善しました。つまり、レビトラを内服すると肥満の方は性行為の満足度、質がよくなり男としての自尊心も改善する可能性があるという結果が出たのです。
不思議なことに肥満度が上がっていくとIELTが短くなっていくという逆相関関係がみられたとのことで、レビトラは射精のコントロールを改善する(つまり早漏改善)ことで、性行為全体の質の改善を起こしたようです。
レビトラはPE(早漏)改善効果が、バイアグラやシアリスよりも高いと言われているため、この結果も、納得できる部分はあります。
ただし、前述のとおり対象人数が少なすぎるので、今後はもう少し大規模なデータを期待したいところです。
個人的な印象では、肥満ではなくてもED治療薬を内服することで性行為の質の改善というのは得られることが多いと思っていますが、どんなものでも数値化することで、より明確になっていくことは非常に興味深いですね。


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