Vol.104 ザルティア認可後の印象について

前立腺肥大症の治療薬としてザルティアがついに発売されました。「ED治療薬シアリスがザルティアとして発売へ」でも掲載しましたがこのザルティアという薬は中身はED治療薬シアリスと同じタダラフィルです。
今回は両者の違いを過去のコラムのおさらいがてらまとめてみたいと思います。

【シアリスの特徴】
ED治療薬シアリスは5mgで16時間、10mgで24時間、20mgで36時間以上ED改善効果が持続するのが特徴です。もちろん性的な刺激や興奮がなければ勃起する訳ではありません。イメージとしては高校生の頃に戻ったような感じと言えばいいでしょうか。
他のED治療薬と比べて食事の影響を受けにくく800キロカロリー程度の食事であれば効果の現弱は認めにくいと言われています。ただし油物の食事の後に内服した場合はやはり効果は減弱するようです。

【ザルティアの特徴】
適応症は前立腺肥大症でありEDは適応外です。2.5mgと5mg錠があり基本的には毎日内服することで排尿困難など前立腺肥大の症状を緩和します。
ただし前述の通りシアリスと同成分であるために副次的にED改善効果も期待できるというのが従来の前立腺肥大症の薬とは大きく違います。

【シアリスの副作用】
軽い頭痛、動悸、鼻づまり、目の充血、顔などの発赤があります。

【ザルティアの副作用】
シアリスと同様です。

【ザルティアとシアリスの用量について】
当院はシアリス5mg錠も扱っているクリニックですので処方数から需要が推測できますが、シアリスは20mg錠が圧倒的に人気があります。6割程度は20mg錠を内服していると思います。10mg錠が3割程度で5mg錠は1割未満です。ED治療薬には耐性(内服を続けていくうちに効果が出にくくなること)や依存性はありませんし、副作用の発現率も増量に伴って極端に増える訳ではありません。そのため頓服として考えるなら一番効き目が強くて長時間効いている20mgが人気があるのもうなずけます。
シアリス5mg錠があまり人気がないのはやはり効果が弱めであることが理由ですが、10mg錠でも効きすぎたり副作用が強い患者様からは根強い人気があるのも事実です。また比較的若い患者様はEDの症状が軽いため低容量でも効果が出やすい印象があります。
ザルティアは2.5mg錠と5mg錠がありますのでシアリス5mg錠を内服して十分効果がある患者様にとってはザルティアは有効であると考えられます。

【保険適応について】
シアリスはED治療薬であり保険適応はありませんので全て自由診療になります。ザルティアは前立腺肥大症の治療に関しては保険適応での処方が可能です。
ただし注意していただきたいのはザルティアの保険適応は非常にハードルが高いということです。まず50歳以上であるということ(前立腺肥大症は若年者には通常ありません)、さらには検尿、超音波検査、直腸指診(肛門に指を入れて前立腺の固さや大きさを確認します)、採血によるPSA確認などが必要とのことです。
さらに最初の1年間は14日分(つまり14錠)しか1回の処方では認められません。つまり2週間に1回は必ず病院を受診する必要があるということです。保険診療では定期受診を怠ると保険適応と認められなくなりますので気が向いたときにもらいに行くということはできません。

【自由診療でのザルティアの処方】
ED治療目的でザルティアを処方する場合は自由診療になり健康保険は使えません。また適応外処方になりますので通常の自由診療とも違い薬の使用に関しましては患者様の自己責任となり医薬品被害救済制度の対象外となります。この制度は薬の使用で重い副作用が出た場合にかかった治療費などを補償する制度です。シアリスは安全な薬ですのでザルティアで重い副作用が出るというのは一般的には考えにくいのですが、うっかり併用禁忌の薬などを自己判断で併用した場合などに生じた有害事象もありえますので注意が必要です。

【まとめ】
ザルティアはシアリスそのものですからED改善効果は期待できますが5mg錠までしかありませんので単回投与だと十分な効果を得られない可能性があります。シアリスは2.5〜5mg程度を毎日飲むと高いED改善効果が出るという報告があります。たくさんの検査を受けて保険適応となる前立腺肥大症と診断された患者様が定期受診を怠らずに連日投与された場合はローコストでED改善効果の恩恵を受けることができるかもしれませんがその数は限られると思います。
自由診療での処方は可能ですが適応外処方になりますのでそれなりに高額となります。そのため低容量連日投与法という選択肢はシアリス20mg単回投与よりも割高となる患者様の方が多いかもしれません。もちろん以前よりは低容量連日投与法のコストは下がると考えられますが。
今までシアリス5mg錠を単回使用して特に副作用もなく十分な効果が得られていた患者様にとってはザルティアの適応外処方というのは良い選択肢になりえるのかもしれません。
とにかく発売開始から集めた情報から判断しますと保険適応のハードルは非常に高く、処方を受けられる患者様は限られます。
ただ、ED治療のオプションが一つ増えたという事実はポジティブにとらえていますので今後も良い方法を探っていきたいと思います。


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