Vol.13 EDセルフチェック~その3

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最近いまひとつ勃起の調子が悪い、若いころに比べて力強さに欠けるといった印象をお持ちの方、体調によって勃起力にムラが出てしまうという方はご自身でEDセルフチェックをされてはいかがでしょうか。ほかのすべての病気がそうであるように、EDも早期発見、早期の対応が非常に重要です。
EDと一言でいっても症状の程度はさまざまです。たまに勃起できない、ときどき行為中に萎えてしまうという程度の比較的軽症の方から、常に勃起できない重症の方までいらっしゃいます。EDセルフチェックをとおして、ご自身のEDの症状の重症度を知っていただくことは、ED治療薬の強さを選択する際や、服用後にどれくらい改善したのかを客観的に評価する際にも役立ちます。
国際的に使われているEDの評価方法には以下のようなものがあります。
●IIEF‐5 国際勃起機能スコア (International Index of Erectile Function)
●EHS 勃起硬度スコア (Erection Hardness Score) 
●夜間陰茎勃起スタンプテスト(Nocturnal penile tumescence (NPT) stamp test)
●男性性機能スコアMale Sexual Health Questionnaire (MSHQ)
●Golombok-Rust Inventory of Sexual Satisfaction (GRISS)
●Brief Male Sexual Function Inventory (BMSFI)

今回のコラムでは夜間陰茎勃起スタンプテスト(Nocturnal penile tumescence (NPT) stamp test)をご紹介します。

夜間陰茎勃起スタンプテスト(Nocturnal penile tumescence (NPT) stamp test)

「最近朝立ちしない」はEDの危険信号』のコラムでも紹介しましたが、健康な男性は一晩におおよそ4~8回程度、睡眠中に勃起します。これを夜間陰茎勃起現象(Nocturnal penile tumescence:NPT)と呼び、朝、目が覚める直前の最後の夜間陰茎勃起現象は一般的に「朝立ち」と呼ばれます。
夜間陰茎勃起スタンプテスト(Nocturnal penile tumescence (NPT) stamp test)は睡眠中に夜間陰茎勃起現象が起きているかを調べることができます。
夜間陰茎勃起現象が十分に起きていれば、勃起にかかわる神経、血流、血管平滑筋、ペニスの解剖学的構造などに大きな問題がないといえます。
夜間陰茎勃起現象は精神的な影響をほとんど受けませんので、セックスの際はうまく勃起できないが、朝立ちはしっかりできるという方は、心因性EDの可能性が高いといえます。一方、セックスの際にうまく勃起できず、朝立ちもしないという場合は、器質性EDの可能性が高くなります。器質的EDの場合、重症のEDであることが多く、ED治療薬が十分効かないことが考えられます。
このように朝立ち(夜間陰茎勃起現象)は心因性EDと器質性EDを区別する手がかりになる上、ED治療薬の効果予測や処方する治療薬の強さの目安にもなります。

【方法】
縦に4~5枚連なった切手を用意します。切手をペニスの根元にぴったりと巻き付け、端の切手を一方だけ濡らし、もう一方の端に貼り付けます。このとき、陰毛を下着の中に残し、前開きの部分からペニスだけを引っ張り出すようにすると貼りやすいといわれています。(切手がもったいないという方は、切手シートの脇の白い部分を利用しても結構です。また、専用の計測器が1,000円程度で市販されています。)
切手が乾いたらペニスを下着の中に戻して就寝します。
朝、起床時に切手の輪がミシン目の部分でちぎれているかを確認します。
切手がちぎれた拍子に目が覚めた場合は、勃起に硬さを確認してください。

【準備】
・切手、または専用の計測器をご用意ください。
・検査前、最低2日間は飲酒、精神安定剤、睡眠薬の使用を控えてください。

【テスト実施に際して】
切手や計測器を取り付けた状態で眠るのに若干の違和感があります。良好な睡眠状態で評価する必要がありますので、できるだけ睡眠を妨害されない環境でテストをするように心がけて下さい。
健康な方でも一晩では夜間陰茎勃起現象が見られないことがありますので、最低3日間はテストを行ってください。

【テストの評価】
切手がミシン目でちぎれていれば、夜間陰茎勃起現象(朝立ち)が起きていたことを意味します。
夜間陰茎勃起現象が十分に起きていれば、勃起にかかわる神経、血流、血管平滑筋、ペニスの解剖学的構造などに大きな問題がないといえます。もし、EDの症状があるようでしたら、精神的な影響によるもの、いわゆる心因性EDの可能性が高いといえます。

切手がミシン目でちぎれていない場合、夜間陰茎勃起現象(朝立ち)が起きていないことを意味します。もし、EDの症状があるようでしたら、血管や神経の障害、ペニスの解剖学的構造による器質性EDの可能性が高くなります。

【テストの意義】
心因性(機能性)EDと器質性EDを鑑別するための古典的な検査方法ですが、患者さまのEDの原因についての情報が比較的簡単に得られる大変有益な検査です。
心因性EDに対しては低用量のED治療薬でも十分な効果が期待できます。
器質性EDの場合はED治療薬が効きにくいことが多く、高用量が必要になりがちです。また、器質性EDの存在は、心臓や脳の血管にも同様の障害が及んでいる可能性を示唆しますので、器質性EDが疑われる場合は、心血管系の検査を受けられることをおすすめします。

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