Vol.25 「最近朝立ちしない」はEDの危険信号~その3

前回、「最近朝立ちしない」はEDの危険信号~その2で睡眠の質や量と朝立ちの関係についてお話ししました。今回は睡眠と夜間陰茎勃起現象(朝立ち)の関係についてもう少し詳しく見ていきましょう。前回もご紹介しましたが、夜間陰茎勃起現象(朝立ち)を減少・減弱させる因子として、以下に挙げるものが知られています。

(1) 加齢に伴う睡眠の質や時間の変化
(2) 睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、アルコール性睡眠障害等、不安やうつ病による不眠症)
(3) 抗うつ薬、降圧薬などの薬剤(特に三環系抗うつ薬で強く抑制)
(4) 男性ホルモン(テストステロン)分泌量低下
(5) 糖尿病性末梢神経障害
(6) 高血圧、糖尿病、高脂血症による血管内皮障害(動脈硬化)
(7) 血栓症などによる血流障害
(8) 外傷などによるペニスの異常

加齢に伴う睡眠の変化と朝立ち

上記(1)、(2)について詳しくお話します。夜間陰茎勃起現象は浅い睡眠状態であるレム睡眠(REM sleep:rapid eye movement sleep)時におもに起きます。レム睡眠が長く、回数が多いほど、朝起きた時に朝立ちしている可能性が高くなります。このレム睡眠は思春期で最も長く、全睡眠時間の30%強となります(睡眠サイクルはおおよそ90分で1サイクル、そのうちノンレム睡眠が60分、レム睡眠が30分)。思春期ではレム睡眠時間のおおよそ90%で夜間陰茎勃起現象が見られることが知られていますので、レム睡眠中に覚醒した場合、ほとんど朝立ちしていることになります。その後、思春期を過ぎるとレム睡眠の割合は20~50歳代で一定となり(30%弱、一晩あたりおおよそ100分)、60~70歳代では全睡眠時間の20%程度に減少します。また、加齢に伴い一回当たりの夜間陰茎勃起時間も5~10分程度に短縮します。
加齢とともに徐々にノンレム睡眠時にも夜間陰茎勃起現象が見られるようになってくるのですが、全体としては レム睡眠の減少=朝立ちの減少 といえますので、加齢とともに睡眠の質が変化し、朝立ちは減少していきます。
また、睡眠障害と朝立ちの関係ですが、睡眠時無呼吸症候群、アルコール性睡眠障害、不安やうつ病による不眠症、長時間作用型睡眠薬の服用、周期性四肢運動障害(麻痺)、夜間ミオクローヌスなどの症状がみられる方は夜間陰茎勃起現象(朝立ち)が減少・減弱することが知られています。

上記に挙げた(1)、(2)が主要因となって朝立ちが減少・減弱している方はEDに関してさほど悲観する必要がありません。睡眠の質や量による朝立ちの減少・減弱はパートナーとの性行為の際のEDとは直接的には関係がありませんので、不眠などの睡眠障害によって間接的にEDを引き起こすことはあっても、直接的に「朝立ちしない=EDの予兆」とは言えないからです。
今回は「最近朝立ちしなくてもEDに関して、さほど悲観する必要のないタイプ」についてお話ししましたが、最近朝立ちしなくなったという方、最後に朝立ちしたのを思い出せないという方の中には、上記(3)~(8)の要因(EDと直結する要因)が原因の方も含まれていますので、どうぞ御注意ください。ご不明な点、ご心配な点がございましたら、是非、一度、当院担当医師にご相談ください。