Vol.56 性行為中の頭痛

ED治療薬(バイアグラ、シアリス、レビトラ)の副作用で頭痛は比較的よくみられるものです。ED治療薬服用後30分程度から生じ、薬効が消失するまで続く可能性があります。(実際にはそれぞれの薬剤のピークの時間帯の数時間に限られることが多いのですが)それぞれの薬剤によって頭痛の発生頻度は多少異なりますが、おおむね5~12%程度と報告されています。ただし、ED治療薬を使用していない場合にも性行為時には頭痛が出やすいことが知られていますので(「性行為に伴う頭痛」と一般的に呼ばれます)、ED治療薬のせいばかりとは言えません。

「性行為に伴う頭痛」は、欧米の神経学の教科書に記載されるほど一般的なもので、日本でもすべての頭痛患者の3%を占める決して珍しい病気ではありません。頭痛に関する医学論文を検索すると「benign coital headache、coital cephalalgia:良性性交時頭痛、性行為に伴う一次性頭痛」という名前で症例報告も散見されます。片頭痛や群発性頭痛と同じ血管性頭痛といわれるタイプに分類され、高血圧が原因のこともあります。
爆発型、鈍痛型、姿勢時型に分類され、それぞれ頭痛の発症タイミングや強さが異なります。一番頻度が高い「爆発型」はオルガズム(男性の場合は射精時)に一致して激しい頭痛が生じ、その後1分~3時間程度痛みが持続します。「姿勢時型」は特定の体位を長時間持続することで生じ、やはり1分~3時間程度痛みが持続します。髄液漏出によって起こる低髄圧性頭痛のため、体位を変えることにより改善することもあります。最後に「鈍痛型」は混合型とも呼ばれ、上記2型の混在したものと考えられています。
治療としては2~3週間、性行為を避けて性行為頭痛のトリガーがおさまるのを待ち、
それでも改善しないようなら、性行為前にβブロッカーかCOX-2阻害薬を服用します。
注意点として「良性性交時頭痛」とは反対に「悪性性交時頭痛」というものもあり、これは性交為中に血圧が上昇して脳血管が破裂してしまうことに起因します。性行時の強烈な頭痛が何日経ってもおさまらない場合には疑う必要があります。

ED治療薬(バイアグラ、シアリス、レビトラ)を服用する際には常に頭痛の副作用を念頭におく必要がありますが、このように、そもそも性行為には頭痛を引き起こす素因がありますので、もともと「性行為に伴う頭痛」をお持ちの方はさらに注意が必要です。
もし、ED治療薬服用と因果関係がはっきりしない頭痛が性行為時にみられる場合は、神経内科、脳神経外科などの頭痛に関する専門施設を受診することをお勧めします。