Vol.8 糖尿病とED(勃起障害)

糖尿病(DM)だと、なぜED(勃起障害)になるの?

糖尿病(DM)とED(勃起障害)の間には密接な関係があります。

糖尿病はEDの原疾患としてはもっとも頻度が高く、糖尿病患者の30%~60%が中程度から重症のEDを併発していると報告されています。また、軽症のEDも含めると80%~90%以上に達するという報告もあります。これは他のEDの原疾患と違い、糖尿病では長期の高血糖状態によって勃起に関与する血管と神経を同時に障害し、さらに酸化ストレスにより全身の組織にダメージを与えるからと考えられています。

とくに勃起、射精に関わる神経や血管は脳や心臓の血管に比べて細く、デリケートなため、糖尿病によって障害を受けたときに、脳や心臓より、早い段階で症状が現れます。

勃起や射精のメカニズムは複雑で、多くの神経や血管が連動することで引き起こされます。具体的には、ペニスへの性的刺激が陰茎背神経の知覚神経を通って脳やせき髄に伝わり、大脳での性的な興奮とあいまって、副交感神経を刺激します。副交感神経はペニスの動脈や静脈に働きかけ、ペニスの陰茎深動脈からの血液の流入量を増加させ、陰茎静脈から出て行く血液量を減らし、2つの陰茎海綿体と1つの尿道海綿体の中にある海綿静脈洞が血液で満たされるようにします。これが勃起です。

さらに、性的刺激が加わると、脊髄の射精中枢が反応し、交感神経の働きを介して射精が起きます。

このように性行為には多くの血管や神経が連動しますが、糖尿病患者ではこれら全てが、程度の差こそあれ、障害されます。とくに自律神経(交感神経と副交感神経)は糖尿病(DM)でもっとも障害されやすい神経で、ED(勃起障害)をはじめ、冷え症、ほてり、異常な汗、便秘、下痢、立ちくらみ、排尿障害、心拍の異常、などのさまざまな症状が現れます。

ただ、糖尿病になってしまったからと言って悲観してはいけません。一度糖尿病になってからでも、良好な血糖コントロールを継続することでEDの症状を予防できることが近年の研究で証明されています。

まずは糖尿病にならないように努めること、また、なってしまったら上手に付き合っていくように努力することが生活の質を維持するのに大切になってきます。