Vol.83 慢性腎臓病とEDの関係

慢性腎臓病は英語でchronic kidney diseaseと表記され、CKDと略されます。
CKDといっても、その原因はさまざまです。大きくわけて4つに分けられますが、どの原因でも腎臓の働きが低下してくると同じような体の変化を生じてきます。
その中でも、糖尿病の方や高血圧をお持ちのかたは心血管合併症が多くなります。各々の原因に対する治療もありますが、全てのCKDに共通の治療があります。

CKDの4つの原因としては、
1)糖尿病性腎症に伴うCKD
2)高血圧や加齢 (動脈硬化)に伴うCKD
3)慢性糸球体腎炎に伴うCKD
4)その他のCKD 

CKDは進行すると最終的には透析が必要になることも多く、さまざまな病気を合併しやすくなります。CKDにはEDが合併することが知られており、その頻度は約70%とも言われています。
ちなみになぜ腎臓が悪くなるとEDの症状が出やすくなるのでしょうか?その理由はいくつか考えられているようです。
1)動脈硬化が原因の陰茎の血流障害
CKDでは動脈硬化が起きやすくなります。陰茎の動脈は非常に細く、動脈硬化の影響を受けやすいため、EDが生じやすくなります。
2)末梢神経障害
3)ホルモン分泌異常
問題となるホルモンとしては、テストステロン(男性ホルモン)が低下してしまうことが多いようです。またEDの原因となり得るプロラクチンというホルモンは逆に増加傾向が見られます。
4)貧血
さらに腎臓が悪くなると腎性貧血となって海綿体が虚血(相対的な血液不足)となって一酸化窒素(強力な血管拡張物質)の産生が落ちてしまいます。
5)薬剤性
CKDの患者さんで降圧薬や抗うつ薬などを処方されているケースだと、薬剤性EDの原因を起こすことがあります。しかも、腎機能が低下していると薬の代謝が落ちており、薬剤性EDの影響はさらに強くなると考えられます。

以上のことから、さまざまなEDの原因があります。もちろんED治療薬での治療というのは禁忌にはなりませんが、薬の代謝能力の低下を考えると、より慎重な投与を行うべきでしょう。透析患者さんでは、除水の有無や透析日との兼ね合いを考えますと、透析を行っている主治医と綿密に話し合ったうえでのED治療が必要だと考えられます。
ちなみに、ED治療薬以外では腎性貧血に対してエリスロポエチンという薬を使って治療を行うとEDの症状も改善する傾向があるようです。貧血を改善して海綿体の虚血がよくすることもCKD患者さんのED治療では考えてもいいかもしれません。


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