Vol.88 韓国製ジェネリックバイアグラ

「ジェネリックバイアグラ」と称して輸入代行業者が扱っているインド製のコピー版バイアグラが厳密な意味でのジェネリックバイアグラではないこと、そして日本国内でインド製のコピー版バイアグラを譲渡・販売することが特許侵害にあたり、違法であることを以前のコラムでご紹介しました。(日本ではまだバイアグラの特許が切れていないため)

Vol.60 ジェネリックバイアグラ

(インドの特許制度は特殊なため、コピー製品を特許が切れる前に製造・販売できます。効能・効果はほぼ同じですが、これは特許が切れてから製造される後発医薬品、いわゆる「ジェネリック」とは厳密には言えません。)

この点においては、韓国でこのほど発売された数種類のジェネリックバイアグラは名実ともに「ジェネリックバイアグラ」と呼べるものです。韓国国内ではバイアグラの成分に関するファイザー製薬の特許が2012年5月に切れたことから、少なくとも2012年7月現在、6社からジェネリックバイアグラが発売されています。いずれも処方医薬品という位置づけで、韓国国内でも医師の処方がないと手に入りません。効果や安全性については「生物学的同等性試験」をパスしていますので、先発品の本家バイアグラとほとんど変わらないはずですし、いまのところ健康被害に関する情報もないようです。また、錠剤の色や形、味などを工夫したり、粉末状にして吸収速度を高める工夫をしたりと独自の改良がなされています。また、なかには価格で勝負というジェネリックバイアグラもあり、100mg錠が1錠あたり5000ウォン、日本円にして350円程度という破格のものまであるようです。

ただし、バイアグラの本家であるファイザー製薬は「物質特許」は切れているものの、「用途特許」は切れておらず、バイアグラやジェネリックバイアグラの主成分であるシルデナフィルを治療に使用することは特許侵害として訴追する構えのようです。(上告検討中との報道がなされています)

参考までに、現在、韓国国内で処方されている韓国製ジェネリックバイアグラをいくつかピックアップし、以下の表にしました。

韓国製のおもなジェネリックバイアグラ

薬剤名 剤型や特徴 製造元製薬会社
ヌリグラ(Nurigra) 緑色の三角形の錠剤 Daewoong Pharma
ハピグラ(Happigra) 錠剤またはミント味の粉末 Samjin Pharmaceuticals
パルパル(Pal Pal) 破格の安価100mg錠350円 Hanmi Pharma
ヘラグラ(Heragra) 粉末状で吸収が早い Cheiljedang Pharma

その他、イルドン(日東)製薬などもジェネリックバイアグラを製造・販売しています。

さらに現在、19の製薬会社が計37のジェネリックバイアグラの認可を食品医薬品安全庁に申請しており、韓国特許庁によると、今後も多くの製薬会社がジェネリックバイアグラを販売する見通しだと発表しています。

いままで、ジェネリックバイアグラと言えばインド製というイメージがありましたが、今後は輸入代行業者を通じて韓国製のジェネリックバイアグラが大量に国内に流入してくることが予想されます。ジェネリックバイアグラ発売前までの韓国のED治療薬市場は70~80億円と言われており、ブラックマーケットを含めると210億円と推定されていました。金額にして実に2倍もの非正規ED治療薬が流通していたことになります。今後、輸入代行業者を通じて韓国製のジェネリックバイアグラが日本国内に流入する際に、同時にブラックマーケットからも偽造医薬品が流入してくることが予想されます。

(金額ベースにして正規のジェネリックバイアグラのおおよそ2倍程度)

安価な治療薬を使用したいという気持ちは当然あってしかるべきと思いますが、安全性を損ない、健康被害を引き起しかねない輸入医薬品を使用することは、やはりお勧めできません。日本でも2014年以降にジェネリックバイアグラが発売される予定ですので、もうしばらくお待ちいただくことをお勧めいたします。


ジェネリックバイアグラについて