高血圧は動脈硬化のリスクファクターとして有名です。動脈硬化はEDの原因となり得ます。実際、渋谷三丁目クリニックでも高血圧の治療を行いながらEDの治療を受けておられる患者さんもたくさんいらっしゃいます。
マサチューセッツ男性加齢研究所(Massachusetts Male Aging Study;MMAS)によると、欧米の高血圧患者におけるED罹患率は15~26%であったとのことです。日本でも、高血圧患者におけるED罹患率を調査した研究があり、高血圧がEDのリスクファクターであると考えられています。しかし、人間ドックのデータでは有意なリスクファクターでないという報告も一部見受けられるのは、やや不思議です。血圧降下剤には副作用としてEDが生じることがあり、薬剤性によるEDも高血圧とED発生に影響しているかもしれません。ちなみにEDを引き起こす可能性がある降圧薬としては、利尿剤、交感神経抑制剤、α遮断薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬など多岐にわたります(というよりもほとんどですが…)。ただし、これらの薬が必ずしもEDを起こすわけではなく、高血圧をコントロールするということの方が、はるかに重要であることは間違いありません。
さらに、高血圧患者さんの多くが降圧薬による治療の前からEDを自覚しているケースが多いため、高血圧はやはりEDの独立したリスクファクターであるのは間違いなさそうです。
降圧薬自体はED治療薬との併用に関しては禁忌ではありません。しかし、降圧薬を内服している場合はED治療薬の投与量や使用法に関して医師のきめ細かい指導が必要になるケースが多いのでご注意ください。