持続勃起症とはプリアピズム(priaipism)とも呼ばれる症状で、勃起が4時間以上継続してしまう状態をいいます。バイアグラをはじめとするED治療薬はごくまれにこの持続勃起症を引き起こすことがあります。バイアグラなどのED治療薬が勃起をサポートする作用は、ペニスの血液の出口である海綿体静脈をせき止めて陰茎海綿体を血液の水風船のように張らせることによって発揮されます。この出口がせき止められた状態が長く続きますと、酸素を多く含んだ新鮮な血液が入って来れなくなることで、ペニスの細胞が酸欠状態(虚血)になって死んでしまいます。
このようなメカニズムによってペニスが障害される病態を静脈性持続勃起症と呼びます。
(動脈性持続勃起症はED治療薬で起こりませんのでここでは単に持続勃起症と呼びます)
実際にペニスが障害されるまでには6時間以上の持続勃起状態が必要とされていますので、4時間以上勃起し続けた時点で救急病院に向かえば後遺症を残すことなく十分に治療が可能と考えられています。(緊急治療開始まで2時間程度の猶予があります)
また、持続勃起症は強い痛みを伴いますので4時間にわたって一度も萎えない、強い痛みを伴った持続的な勃起が見られた場合は急いで救急外来がある病院に向かってください。
救急外来では注射器で陰茎海綿体に溜まった血液を吸い出しペニスを減圧します。さらに、海綿体をしぼませる為に血管収縮薬を直接ペニスに注射する処置が行われます。
持続勃起症は鎌状赤血球性貧血、白血病、多発性骨髄腫の患者さまに起こりやすいことが知られていますが、もともとリスク因子のない方がED治療薬によって持続勃起症を引き起こす頻度は「(低すぎて)頻度不明」、または「0.01~0.1%未満」とされています。
万一、持続勃起症になった場合、その後に勃起障害の後遺症が残る頻度は約50%といわれています。