亜鉛不足がEDの症状を引き起こしてしまう可能性があることは以前のコラムでお話ししました。また、亜鉛サプリメントがEDの症状を改善する効果があることについてもその際に触れました。
≫Vol.51 EDと亜鉛
それでは、具体的にはどれくらい亜鉛を摂取していれば亜鉛不足によるEDの発症を防げるのでしょうか。
厚生労働省の発表では、日本人の亜鉛の推定平均必要量(EAR)は成人男性で一日当たり10mg、推奨量が一日当たり12mgとしています。
これは、以下の式を用いて求められたものですので、もし自分の食生活から日々の亜鉛摂取量がわかるようでしたら、どれくらい足りないのか、または十分なのかを概算することができます。
1. 亜鉛の吸収量(mg)=1. 113×(食事からの摂取量mg)0. 5462
2. 亜鉛の総排泄量(mg)=(亜鉛の腸管内因性排泄量)+(腸管外排泄量1.27mg)
3. 亜鉛の腸管内因性排泄量=0.6280×亜鉛の吸収量(mg)+0.2784
※ちなみに、上記の3つの式は体重76kgの男性と仮定した場合の計算式です。
また、上記の式の腸管外排泄量1.27mgという値は、皮膚や尿、精液の形で排泄される亜鉛の量で、それぞれ一日平均、0.63mg、0.54mg、0.1mgと報告されていますので、合計で一日当たり1.27mgとなります。
亜鉛不足となる状況とは、日々の亜鉛吸収量が日々の亜鉛総排泄量を下回ることによって引き起こされますので、「亜鉛の吸収量」=「亜鉛の総排泄量」となる量よりも少しでも亜鉛の吸収量が下回れば、日々亜鉛不足が進行していきます。
そこで、「亜鉛の吸収量」=「亜鉛の総排泄量」となるような、亜鉛の「食事からの摂取量」を上記式で計算すると11.18mgとなります。つまり76kgの男性では食事に含まれる亜鉛量が11.18mgを下回ると亜鉛不足が日々悪化していくというわけです。これを日本人男性の平均体重で補正すると、この値はおおよそ10mgとなります。
厚生労働省のいう推奨量とは必要量の2割増しと決まっていますので、推奨量は12mgとなります。
ちなみに上記式で「腸管内因性排泄量」とは体組織から腸管に排泄されて便中に移行した量のことを指します。(食物に含まれる亜鉛のうち、腸管で吸収されずに出ていく亜鉛のことではありません。)
本題に戻りますが、亜鉛サプリメントはどのような場合に必要なのでしょうか?
亜鉛の食品からの吸収率は概ね30%と言われていますが、亜鉛は鉄分や銅、カルシウムや食物繊維、フィチン酸を多く含む食品と一緒に摂取すると吸収しづらい、また、ビタミンCやたんぱく質を多く含む食品と一緒に摂取すると吸収しやすいなど、他の栄養素との相互作用で吸収率が変化することが知られています。実際には吸収率は条件によって大幅に変動しますので、普段の生活の中では不足しているのかよくわからないのが実情です。
そのため、知らず知らずのうちにEDや性欲減退の原因になっている場合があります。
当院で亜鉛サプリメントとして扱っているポラプレジンクは空腹時の服用で概ね吸収率が50~60%と報告されていますので、食事の内容に左右されず、より確実に亜鉛を補給できる医薬品であることがわかります。もし、特に原因が思い当たらないEDの症状や突然の性欲減退が見られる場合には、ポラプレジンクをお試しになることをお勧めします。