Vol.86 アメリカでシアリスが前立腺肥大の治療薬になりました

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タダラフィル(シアリス)はED治療薬、原発性肺高血圧症治療薬に続き、2011年10月に前立腺肥大症の治療薬としてアメリカFDA(アメリカ食品医薬品機構)に承認されました。現在、日本でもタダラフィル(シアリス)は前立腺肥大症に対する治験の第三相試験中であり、今後、日本でもアメリカ同様に前立腺肥大症治療薬としてシアリスが追加承認される可能性がさらに高まってきました。
前立腺肥大症や過活動膀胱、夜間頻尿などを総称してLUTS(Lower urinary tract symptoms:下部尿路症状)と呼びますが、近年ED(勃起障害)はこのLUTS(下部尿路症状)と因果関係が深いことがわかってきました。これまでEDとLUTSはともに加齢によって引き起こされる現象で、それぞれは無関係と考えられてきました。つまり、EDとLUTSを同時に持つ患者さまは多いのですが、いままでは「年を取ったからEDになり、年を取ったからLUTSにもなった。どちらも年のせいで起きており、お互いの病気は関係ない」と考えられてきました。ところが海外の大規模調査により、前立腺肥大症をはじめとするLUTSがEDを引き起こしていることが分かってきました。前立腺肥大症によるおしっこの出が悪い状態、過活動膀胱による突然の切迫した尿意、夜間頻尿によって熟睡できない状態などが、EDの原因になることが新たに突きとめられたのです。EDがLUTSによって引き起こされるという事実は、日本におけるED診療の教科書ともいうべき「ED治療ガイドライン」の2012年版にも新たに書き加えられています。
冒頭で紹介した内容を踏まえると、ED治療薬のシアリス(タダラフィル)はLUTSの代表格ともいえる前立腺肥大症の治療薬となり、服薬によりLUTSの症状が軽快することでEDが改善する可能性がある、というのです。もちろんシアリスは本来のED治療薬としての機能も果たしますので、LUTSで不快な症状に悩まされているED患者さまは、シアリスを服用することで2つの経路からEDの症状を改善できるのです。前立腺肥大症の不快な症状ももちろん改善します。
ちなみにLUTSに対して効果を発揮するためには、シアリス5mg錠を一日一回、ほぼ同じ時刻に服用する必要があるとされています。シアリスの10mg錠や20mg錠の服用でもLUTS、ED、ともに効果はあるのですが、副作用発現率が増加するため、シアリス5mgを一日一回服用が適切と言われています。

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