Vol.128 炎症性蛋白質とEDの関係について

血液検査で体内に炎症があるかどうかを判定する方法はいくつかあります。
白血球数、古くは赤血球沈降速度などというものもありました。
現在、最もポピュラーな炎症反応マーカーはCRPといいます。
C-reactive proteinの略でシーアールピーと読みます。そのままですね。
細かい機序は割愛しますが体内に炎症があると上昇してくるため、炎症反応の指標として広く臨床で用いられています。
急性炎症では大幅に上昇するため、通常は0.1㎎/dL未満の値は検出されません。

しかし、最近では慢性炎症の指標としてわずかなCRP上昇を測定する高感度CRPというものも存在します。
高感度CRPを測定することで心筋梗塞のリスクを評価するということも行われています。
EDは血管内皮の障害であり心筋梗塞とも密接な関係があります。

以前にも書きましたが、EDの発症はその後に心筋梗塞を発症するリスクがEDではない人より高まることが知られています。
血管の慢性炎症が存在しているという考えから高感度CRPを測定することでEDのリスク評価が可能かどうかを知ることができないのではないか?
そのような観点から調査をおこなった論文があります。
Association between serum high-sensitivity C-reactive protein levels and erectile dysfunction: a cross-sectional study of Chinese male population
というタイトルで中国人男性を対象に高感度CRPとEDの関連について調べています。
結論としては高感度CRPはEDを診断するという意味ではあまり役に立ちませんが重度のEDを識別するには役立つということでした。

陰茎動脈は非常に細く動脈硬化の影響を最初に受けやすいことは知られているため、面白い調査ではあるのですが、ED自体は自覚症状で診断できるため実際の臨床でわざわざ採血するのはナンセンスだと思います。
しかし、心筋梗塞のリスク調査で採血して、その結果からEDについても情報が得られるというのであれば意味はあるのかもしれません。

この論文とは直接関係はありませんが、中国にはとてつもない数の糖尿病患者がいます。
日本人全員分くらいの数の患者がいるといわれています。
糖尿病とEDは密接な関係がありますので今後は中国におけるED治療薬の必要性というのはどんどん大きくなっていくのではないでしょうか。
糖尿病の治療薬とED治療薬の組み合わせは特に問題はないのですが、糖尿病患者さんは神経障害を合併していることがあり、狭心症や心筋梗塞などの胸痛を感じにくいことがあります。
結果として、運動負荷を本来かけてはいけないような方が性行為により負荷がかかり心筋梗塞などを誘発してしまうケースが増えるかもしれません。
心筋梗塞、狭心症ではいわゆるニトロ系の薬を使うことが多いのですが、ニトロ系薬剤とED治療薬は併用禁忌となっています。
ED治療薬は血管内皮から血管拡張物質である一酸化窒素を放出させて血管(おもに肺と陰茎の動脈)を拡張させます。
ニトロも一酸化窒素を放出させるため作用が増強され、過度な低血圧になる可能性があるというのが禁忌の理由です。

そのような意味では初発のED患者様には血液検査で高感度CRPを測定し心筋梗塞リスクを調べていくということは予防医学の観点から有効かもしれません。


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