Vol.21 「最近朝立ちしない」はEDの危険信号 ~その2
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陸生哺乳類の多くで「夜間陰茎勃起現象(nocturnal penile tumescence)」と呼ばれる、睡眠中に勃起する現象が見られます。一度の睡眠で断続的におおよそ4~8回程度起きるこの現象のうち、目が覚める直前の一回を「朝立ち」と呼びます。この「朝立ち」の有無はEDの原因、EDの質を評価するうえで大変重要な手掛かりとなることを前回ご紹介しました。
なぜ朝立ちが起きるのか?
全睡眠時間の20~40%にも及ぶことが知られている夜間陰茎勃起現象ですが、いったいなぜ生殖とまったく関係ないタイミングで勃起するのでしょうか?1944年にドイツ人医師Ohlmeyerらによって、青壮年男子の睡眠中に84.5分間隔で平均24.5分間の持続時間の陰茎勃起現象が報告されて以来、60年以上にわたって研究され続けてきた夜間陰茎勃起現象ですが、その生理学的意義は現在でもまったく不明です。日中に受けたストレス解消のためとか、陰茎海綿体や尿道海綿体が詰まらないようにするための血流トレーニングだとか、夜尿症(おねしょ)予防、膀胱がいっぱいになったサイン、といったさまざまな仮説が立てられていますが、科学的に証明されたものは2010年現在、一つもありません。
朝立ちに影響を与える因子
理由は不明ながら健康な男性なら誰もが経験する「朝立ち」、この朝立ちに影響を与える因子について、もう少し詳しく見ていきましょう。夜間陰茎勃起現象(朝立ち)を減少・減弱させる因子として、以下に挙げるものが知られています。
(1) 加齢に伴う睡眠の質や時間の変化
(2) 睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、アルコール性睡眠障害等、不安やうつ病による不眠症)
(3) 抗うつ薬、降圧薬などの薬剤(特に三環系抗うつ薬で強く抑制)
(4) 男性ホルモン(テストステロン)分泌量低下
(5) 糖尿病性末梢神経障害
(6) 高血圧、糖尿病、高脂血症による血管内皮障害(動脈硬化)
(7) 血栓症などによる血流障害
(8) 外傷などによるペニスの異常
朝立ち回数の減少や、朝立ちの硬度低下はEDの症状とも密接に関係しています。
上記(3)~(8)の要因で朝立ちが障害されている場合 朝立ちしない=EDの予兆 といっても過言ではありません。(ED:パートナーとセックスする際に勃起が不十分となること。)
一方、上記(1)と(2)は睡眠の質や量による影響ですので、直接的にEDにつながるとは限りません。後述しますが、十分な睡眠(主にREM睡眠)が得られない場合、夜間陰茎勃起現象が起きる機会が少なく、朝立ちしづらくなっていきます。この場合、不眠などの睡眠障害によって間接的にEDを引き起こすことはあっても、直接的に 朝立ちしない=EDの予兆 とは言えません。
「最近朝立ちしない」はEDの危険信号でもお話ししましたが、しっかりとした朝立ちがある方のEDは、器質的EDではなく、機能的(心因性)ED=回復の可能性がありED治療薬がよく効くED であるといえます。逆に最近朝立ちしなくなった場合、上記(1)、(2)が原因の場合はEDと直接的には関係がなく、(3)~(8)が原因の場合は直接的なEDの予兆といえます。
最後に一つ付け加えますと、夜間陰茎勃起現象は健康な方でも全睡眠時間中の20~40%程度ですので、平均して3~5日に一度しか見られません。毎日見られなくてもご心配なさらないでください。ご不明な点、ご心配な点がございましたら、是非、一度、当院担当医師にご相談ください。
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